派遣交換留学 シャルマーズ工科大学 2022年8月23日~ 2023年6月4日

派遣交換留学 シャルマーズ工科大学 2022年8月23日~ 2023年6月4日

留学時の学年:
修士2年
東工大での所属:
情報理工学院 情報工学系 情報工学コース
留学先国:
スウェーデン王国
留学先大学:
シャルマーズ工科大学
留学期間:
2022年8月23日~ 2023年6月4日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

スウェーデンの南西部,ヨーテボリにある工科大学。キャンパスはJohannebergとLindholmenの二箇所があり,私の履修した授業は全てJohannebergで行われた。ちなみにヨーテボリには自動車メーカーVolvoの本社がある。

留学前の準備

学部の頃からぼんやりと留学に行ってみたいと思っていたが,漠然とした不安もあり,なかなか行動に移せていなかった。学部4年生の10月頃にやっと覚悟を決め,留学コンシェルジュの方に何回か相談に乗ってもらった。大学院科目を先取りしていたり,博士進学を考えていて就活を考える必要がなかったりしたため,留学のスケジューリングには困らなかった。自分の研究分野で有名なChalmersを留学先に決め,12月締切りの追加一次募集に応募,1月に無事学内選考通過の通知をいただいた。また,応募してすぐにEnglish café等で英語力を鍛え始めた。4月頃にはChalmersへ出願し,翌月にはLetter of Acceptanceを受け取った。6月にChalmersから学生アパートを賃貸する業者を斡旋され,メールのやり取りで契約を行った。それと並行して,居住許可の申請は6月初めにスウェーデン移民局のオンラインフォームで行い7月に申請が通った。

留学中の勉学・研究

研究活動はせず授業受講のみで,東工大での専攻と同じく情報系の授業を受講した。四学期制で学期ごとに2科目を受講するように設計されていた。2科目というと少なく聞こえるかもしれないが,体感で東工大の3倍ほどのワークロードがあった。どの授業にもグループで行う実験やプロジェクトがあり,毎週論文を一本読むことまで課された授業もあった。授業の内容は専門性が高く勉強になった。Chalmersはプログラミング言語の研究で有名であり, Thierry CoquandやJohn Hughesといった著名な教授陣が教鞭をとっていた。今回の留学は今後の研究活動にとても有用であったと思う。
 履修した科目とその内容は以下
・Types for programs and proofs:依存型理論
・Computer architecture:CPU,キャッシュ,メモリなどの現代的な構成
・Distributed systems:Fault-tolerantな分散システムに使われるアルゴリズムや技術
・Sustainable computing:コンピュータのエネルギー消費を抑える技術
・Computer security:セキュリティの様々な内容について総合的に
・Parallel computer architecture:マルチコア・GPU・メッセージパッシング等
・Compiler construction:C風言語からLLVM IRを生成するコンパイラの作成
・Parallel functional programming:関数型プログラミングにおける並列化・並行化の手法

留学中に行った勉学・研究以外の活動

イギリス,ドイツ,ベルギー,デンマークなど様々な場所に旅行に行った。特に印象に残ったのは,スウェーデンの北にあるラップランドで参加したオーロラを見るツアーだ。幸運なことに2回もオーロラを見ることができた。その他にも犬ぞり・スノーモービルの運転体験やトナカイの餌やりなど,一生に一回の貴重な体験をすることができた。
 街歩きやハイキングにもよく行った。ヨーテボリはおしゃれなお店が立ち並ぶエリアと自然豊かなエリアが両立しており,とても雰囲気が良かった。他の学生たちと一緒に泊まりがけで本格的なハイキングに行くこともあった。
 スウェーデンに来たということでせっかくなのでスウェーデン語学習をした。週2回1ヶ月半の初心者向けのスウェーデン語教室や,Duolingoを使った。最終的には自己紹介や買い物の際の簡単なやり取り,基本的な読み書きをこなせるようになった。
学期終了後にはZurihacというプログラミング言語のワークショップに参加した。スイスで開催されるので興味があっても今まで現地参加はできないでいたが,この機会にやっとそれを叶えることができた。内容自体はもちろん非常に勉強になったし,多くの人が集まって活発に議論をしている様子にとても感動し,やる気・エネルギーを与えられた。



留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

グループワークやディスカッションのおかげで英語力はかなり向上したと思う。正直なところ,自分では向上したという実感はあまりなかったのだが,友人に英語が上手くなっていると言われたことで自信を持てた。また,留学を通して社交的・能動的になったと感じた。せっかくの留学中だから積極的にイベント等に参加しようと心がけていたことが効いたのだと思う。



留学費用

渡航費:片道約15万円
生活費:約5万円/月
住居費:約7万円/月
保険料:約13万円
奨学金:8万円/月(JASSO)

留学先での住居

ChalmersからSBSという業者を斡旋され,メールのやり取りで一人向けの学生アパートの賃貸契約をした。Beryllgatanという場所にある1K+シャワールームの部屋を借りた。家賃は月7万円前後、一人で住むには十分に広くキッチンも広かったので快適だった。近くにバス停があるため通学にストレスがなかった。Frölunda Torgという大きなショッピングモールやICA, Lidlといったスーパーが割と近くにあるため買い物にも困らなかった。唯一の不満は,共同のランドリールームの洗濯機・乾燥機がすぐ壊れ,そして修理対応が遅く洗濯がままならなくなったことだけである。

留学先での語学状況

授業は英語で開講されていた。どの学生も流暢に英語を話していたので,最初の3,4ヶ月はグループディスカッションの時などに置いていかれることがあった。それでも拙いながらも喋り続けた結果ついていけるようになった。Chalmersには様々な国から人が集まるので,それぞれの国の訛りになれるのにも時間がかかった。
日常生活も英語のみで問題なかった。ただし,街中の表示はスウェーデン語のみなので,基本的な単語は知っていると良いと思う。

単位認定(互換)、在学期間

修了までの単位はほとんど足りているが,せっかくなので留学先大学の授業名のまま単位認定する。在学期間は半年延長する予定。

就職活動

博士進学を考えているので特に就職活動はしていない。

留学先で困ったこと(もしあれば)

留学中にCovid-19に感染してしまった。日本から解熱剤を持って行ったので熱は抑えられたが,咳が止まらず一週間ほど寝込んでしまった。元気がなく買い物にも行けなかったので途中で食べ物が尽きてしまい辛かった。

留学を希望する後輩へアドバイス

英語力の面が不安で留学に迷っているなら,思い切って留学に申し込んでみるといいと思う。英語力があると留学先での学習効率が良いのは間違いないのだが,最低限の英語でも意外とやっていける。(努力はもちろん必要)
 留学先では能動的に発言・行動することを心がけると良いと思う。ただ黙っていたりこもっていたりすると学習や交流のチャンスを逃してしまって留学に来ている意味がなくなってしまう。留学の最初の方の自分がそうだったので少し後悔している。

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