派遣交換留学 アーヘン工科大学 2023年9月15日~ 2024年3月24日

派遣交換留学 アーヘン工科大学 2023年9月15日~ 2024年3月24日

留学時の学年:
修士1年
東工大での所属:
環境・社会理工学院 土木・環境工学系 土木工学コース
留学先国:
ドイツ
留学先大学:
アーヘン工科大学
留学期間:
2023年9月15日~ 2024年3月24日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

アーヘン工科大学(RWTH Aachen University)はドイツの西側、ベルギーとオランダとの国境に位置するアーヘンという街にある。街中には大学のキャンパスが点在しており、アーヘンといえばアーヘン工科大学というくらい学生でにぎわう街である。全部で9つのFaculty、173のコースがあり、学生は約45,000人、留学生は141か国から14,437人在籍する。

オリエンテーションではビールが配られる
オリエンテーションではビールが配られる

アーヘンは温泉が湧く街として古くから知られている
アーヘンは温泉が湧く街として古くから知られている

留学前の準備

就職活動、修士・博士論文などとの兼ね合いを含め、修了までの計画をどう立てたか。

修士1年の秋から春にかけて留学することを見越して、修士1年の前期は授業の履修に注力した。留学先で取得した単位の互換は考えていなかったため、卒業までに必要な単位を3つだけ残して留学を開始した。就職活動もできるだけスムーズにいくように、行きたい企業の夏インターンに参加し、早期選考に呼ばれるよう努力した。志望企業は大学3年時の就活を通して決めていた。修士の研究についてはほとんど手を付けずに留学を開始した。

留学プログラム・渡航先について

はじめは工系3学院の留学制度を通して留学するか、派遣交換留学で留学するか迷っていたため、それぞれのプログラム担当の方と数回お話させていただいたほか、指導教員の教授にも相談に乗っていただいた。また、東工大の留学支援団体であるFLAPの方々の話も伺い、留学プログラムと留学先を決定した。
ドイツ・アーヘン工科大学を選んだ理由としては、アーヘン工科大学に興味のあるコースがあったからというのが大きい。学部4年から現在の水環境研究室に所属し、光化学を利用した汚染水処理の研究に取り組んだことがきっかけで、水環境という分野に興味を持つようになった。水環境についてもっと学びたいと思い留学先を探していたところ、アーヘン工科大学にSustainable Management water and energyというコースがあることを知った。世界有数の環境先進国であるドイツで学ぶことができるのは大変価値になると考え、留学先をアーヘン工科大学に決定した。アーヘン工科大学と東工大の提携は強く留学のサポートが手厚いという話も聞いたが、実感としてはあまり感じなかった。しかし、留学前にアーヘン工科大学から東工大に交換留学をしているドイツ人の留学生に出会い、アーヘン工科大学について話を聞くことができたので大変助かった。

語学について

留学にはTOEFLの点数が必要だったため、TOEFLの勉強が留学に向けた語学の準備になったと思う。また、東工大のサポートでe-learningを受けたり、スピーキングとライティングの授業を受講したり、アウトプット中心に勉強した。ドイツ語については、1,2Qでドイツ語初級を受講して基本的な文法を学んだ。

手続き・事前準備について

ドイツに3か月以上留学する場合は閉鎖口座を作り、滞在中の経済力を証明するために決まった金額を送金しなければならなかったので、6か月滞在する私の場合は100万円程度開設した閉鎖口座にユーロで入金した。普通口座は現地で開設し、毎月閉鎖口座から決まった額のお金が普通口座に送金される仕組みだった。ドイツの公的保険にも入る必要があったので事前に入っておいた。住民登録はアーヘンの市役所で行う必要があったので、渡航後にウェブサイトで予約をしてから行った。3か月以上滞在する際に必要な滞在許可証は閉鎖口座内の資金の証明書、保険加入証明書、在学証明書、写真などが必要だったので、事前に日本で印刷して持っていくと便利だった。(コンビニがないのでドイツで書類の印刷をするのは最初難しかった)
また、アーヘン工科大学にはBe Buddy Programという制度があり、登録すると大学の学生と渡航前につながることができる。私はこの制度を利用してポーランド人の女の子とつながることができ、渡航前から手続きや授業の履修について教えてもらっていた。アーヘンについた時も駅まで迎えに来てくれて、留学最後までお世話になり、今ではとても大切な友人の一人である。

お世話になったバディと世界遺産のアーヘン大聖堂の前で
お世話になったバディと世界遺産のアーヘン大聖堂の前で

環境大国ドイツのデポジットシステム
環境大国ドイツのデポジットシステム

留学中の勉学・研究

講義は7つ登録し授業に参加したが、期末テストが集中していたことと就活が重なっていたことから、期末テストまで受験した講義は5つであった。授業はディスカッション形式の授業を中心に選択した。Sustainable Management water and energyというコースに所属したため、SDGsをベースに学び、意見交換、課題に対する提案をするという授業が多かった。履修者の半数程度が留学生で多国籍であったため、グループディスカッションでは様々な国の話や考え方を知ることができとても刺激的な時間であった。とくに建設現場における環境をテーマに選んだグループワークでは、各国の建設業界の現状を理解しながら提案する必要があったので、事前の下調べから話し合いまで時間をかけて取り組んだ。オンラインと対面を組み合わせて夜遅くまで話し合ったのはいい思い出である。
また、ある授業ではVRでプレゼンや堤防を建設するという体験ができた。最先端の学びが経験できたのは大変貴重であったと思う。また、授業を通してアーヘンで開かれた水工学会議への参加や食品工場と化学工場の水処理場の見学もすることができ大変興味深かった。しかし、受講したかった授業がドイツ語でしか開講していなかったり、すべてオンラインでの開講であったなど、思い通りにいかなかったこともあった。

  • 国際色豊かなグループメンバー

    国際色豊かなグループメンバー

  • VRで堤防の建設を行っている

    VRで堤防の建設を行っている

  • アーヘンで開催された水工学会議

    アーヘンで開催された水工学会議

留学中に行った勉学・研究以外の活動

スポーツコースでFeminine Hiphopを受講したほか、Kpopダンスレッスンに月1回ほど参加した。また、毎週のように語学交換や各国の紹介イベントなどが大学内のイベントスペースで行われていたので、できるだけ多く参加するようにした。語学交換のイベントでは日本語のチューターとして、日本に興味がある留学生やドイツ人に日本の文化や言葉について教えながら交流を深めた。イベントを通して日本への理解と語学力につながったほか、日本が好きな人たちとたくさん出会うことができて良い機会だった。
現地でできた友達とは毎週のようにご飯を食べに行ったり、お互いの国の料理でもてなしたり、たくさんの楽しい時間を過ごすことができた。日本人だと言うと、高確率で日本食が食べたいと言われるので、だしや醤油などの日本の調味料を日本から持って行ってよかったと思う。ドイツでも買えるが値段は高かった。日本人街があるデュッセルドルフにはアーヘンから電車で1時間で行けたので、日本食を食べに行ったり、調味料を調達しに行ったりもできた。
 アーヘンからはブリュッセル、アムステルダム、パリなど大きな都市に電車や長距離バスで簡単に行くことができるので、週末や冬休み期間を利用して様々な国を旅行することができた。高校生の時にカンボジアで出会ったフランス人の友人とパリで7年ぶりに再会できたときはとても嬉しく、これまでのことや将来の話などをたくさんすることができた。また、現地のイベントを通して知り合った友人の実家に遊びに行って案内してもらうこともでき、その土地での暮らしや文化、宗教、政治、歴史についてより詳しく学ぶことができた。世界遺産やヨーロッパの街並みが好きなので、世界遺産のある町や街並みが好みの街を訪れ、趣味のカメラで写真をたくさん撮りに行き、とても新鮮で充実した日々を送ることができた。

  • 各国の紹介イベント

    各国の紹介イベント

  • 旅行で訪れたカレル橋とプラハの街並み

    旅行で訪れたカレル橋とプラハの街並み

  • Feminine Hiphopの授業の様子

    Feminine Hiphopの授業の様子

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

海外での暮らしについて

海外で長期間過ごすことも一人暮らしも初めてだったので、まずは生活に慣れる必要があった。はじめは急な環境の変化からか食欲がなくなることがあったが、現地でできた友人たちと過ごす中で生活にも慣れていき、留学の最後には初めて一人旅にも挑戦することができた。自分で計画を立てて行動するという単純なことではあるが、海外で誰の手も借りずに挑戦できたことは自分にとって大変価値になったと思う。また、EU圏内でも国境を越えれば交通機関や生活習慣が全く異なったり、様々な国出身の友人たちと生活する中で、自分の当たり前がほかの人にとっては当たり前ではないことを身に染みて感じた。島国である日本にずっと住んできたことの良さと危うさに気付くことができたのは今回の留学で様々な場所や人に出会ったおかげだと思う。

語学力について

英語についてはリスニング力とスピーキング力が向上したと思う。ドイツ人は英語を母国語のようにすらすらと話すので、はじめは会話を理解することも質問することも大変だった。留学生も世界各国から集まっていたので、それぞれの国や地域の特徴のある英語に慣れるには時間を要した。しかし、それぞれが各々の英語を堂々と話す姿は、英語は完璧である必要はなくコミュニケーションの道具として自分なりに使いこなすことが重要であると教えてくれた。スピーキング力が格段に上がったというわけではないが、英語を話すことに対する抵抗はなったと思う。リスニング力に関して、政治や宗教などの自分の知識の乏しさが原因で内容を理解できないことが多かったので、留学前は触れてこなかった話題について勉強するようにもなった。友人から英語上手くなったねと言われたときは、自分では成長に気付かなかったのでとても嬉しかった。

留学報告

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