派遣交換留学 インド工科大学マドラス校 2024年7月29日~2025年5月17日

派遣交換留学 インド工科大学マドラス校 2024年7月29日~2025年5月17日

留学時の学年:
修士2年
所属:
環境社会理工学院 融合・理工学院
留学先国:
インド
留学先大学:
インド工科大学マドラス校
留学期間:
2024年7月29日~2025年5月17日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

インド工科大学マドラス校(Indian Institute of Technology Madras, IIT Madras)は、23校あるIIT系列の最上位の大学で、インドとその周辺国で絶大なネームバリューを持つ。自転車が必須な程広いキャンパスには、食堂やスーパー、病院、銀行、寺院、ジムなどの施設が充実しており、キャンパス内だけで十分生活できる。
また、全寮制のためほとんどの学生が学内に住んでいるほか、教員とその家族も学内の教員居住区に住んでいるため、学生、教員と交流する機会が多くある。授業は英語で開講されているが、インド全土から人が集まっているため、様々なインドの言語を友人から習うことも出来る。

留学前の準備

留学情報の入手方法、専門分野・語学の準備方法、留学先の研究室に所属した場合は、留学先大学の指導教員との準備、ビザ取得方法、住居の探し方など。

留学情報は、渡航1、2カ月前に実施されたウェビナー以外ではほとんど手に入らなかった。IITMに留学を希望する人は、1.寮費の支払いのために国際クレジットカードを持っておくこと、2.空港に着いたらプリペイドタクシーを使ってIITMの寮まで送ってもらうことの2点さえ知っておけば問題ない。目的地となるホステル名はウェビナーで知らされるため、聞き逃さないこと。
ビザはInvitation letterが届いてからしか申し込めないが、それが届くのが遅い。でも届くので、定期的にIITM側の担当者に催促メールを送りながら、インドの洗礼だと思って楽しみながら待ってもらいたい。ビザ自体は不備がなければ1週間以内に発行される。大使館では「発行次第連絡する」と言われるが、連絡は来ないので自ら大使館へ電話し、確認を取ってから受け取りに行くと良い。
誰にも言われないが、予防接種を受けておくことを強く推奨する。特に、学外でアクティブに活動したい人は必須である。接種するワクチンの種類に関しては都内で無料相談を受けてくれるクリニックがあるため、そこで相談してから受診するとスムーズに事が進む。A/B型肝炎ワクチンは接種完了まで半年かかるため、何よりもまず予防接種に行ってほしい。ただ、IITMには24時間営業の病院があるため、学内であれば大抵なんとかなる。
ちなみに私は学内で猫に引っかかれたため、狂犬病ワクチンの追加接種をしてもらった。

留学中の勉学・研究

前期3科目、後期3科目を履修した。講義は1コマ50分で週4回実施されるのが最も一般的なパターンであり、小学校の時間割のイメージが近い。英語が苦手な私としては、脳への負荷が限界に達する直前に授業が終わるため、非常にありがたかった。また、親切な教員が多く、授業後でも丁寧に質問へ回答してくれる。授業中の発言も歓迎されるため、思ったことは積極的に発言すると良い。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

日本語クラスのボランティアや課外授業(Mridangam、朝ヨガ)、冬休み単身北インド旅行など、やってみたいと思ったことはやるようにした。
日本語クラスでは、書き取りの見回り、教科書の読み上げ、ネイティブとして会話練習への参加、授業外での質問応対などを行った。「日本語ってむずかしぃ~」と思える貴重な機会なので、余裕のある方はぜひ手伝いを申し出てもらいたい。
Mridangamと朝ヨガは大学から提供されていた課外授業で、1セメスター1,500ルピーで受講することが出来た。Mridangamは南インドの古典楽器で、音がインドの情景にとてもよく合う。楽譜などは無く、さらにフィンガリングが難しい。部屋で練習していたら、下手過ぎて他の学生がわざわざ文句を言いに来たこと や、師匠の家で3時間ぶっ通し練習をさせられたこと、覚えたての曲を師匠と歌いながらインドの夜道をバイクで走り抜けたことなど、沢山思い出が出来た。数万ルピーで楽器とハードケースを購入したが、帰国後のチューニングに苦戦している。
朝ヨガはその名の通り朝早かった。5時45分起床、寮の警備員に見送られながら出発、朝もやの中6時にヨガホールへ到着することを目指して自転車を漕ぐ、ということを週3回繰り返していた。朝日を浴びながら、マントラを唱え、ヨガのポーズをとるという経験はインドでしかできないので、ぜひ体験してほしい。もちろん早起きなのでめちゃくちゃ眠たいが、寝落ちしてもゆっくり気持ちよく寝続けさせてくれるので安心して欲しい。私は一度、先生の締めのあいさつまで寝かせてもらったことがある。
単身北インド旅行はヒンディー語が分からないため苦労したこともあったが、寺院でPrasadの準備に飛び込み参加したり、 ガンジス川の始まりを見に行ったり、ザビエルの遺体を見たり、初対面の地元住民にもてなされたりなど、一冊本を書けそうなくらい貴重な体験が沢山出来た。インドに留学する方には「命大事に」を念頭に、ジュガールの精神をもって様々な経験をしてもらいたい。

師匠のシェアハウスにて、Mridangamを練習してから夜ご飯
師匠のシェアハウスにて、Mridangamを練習してから夜ご飯

道端でチャイを飲んでいるときに仲良くなり、自宅で家族総動員の最高のおもてなしを受けた。いつかまた会いたい。(Bharatpur, Rajasthan)
道端でチャイを飲んでいるときに仲良くなり、自宅で家族総動員の最高のおもてなしを受けた。いつかまた会いたい。(Bharatpur, Rajasthan)

留学費用

Institute fee ₹26,000 (₹15,500、₹10,500)
Hostel fee ₹68,165 (₹28,300、₹35,215、₹4,650 for Extension)
旅行(目安):ホテル ₹1,500以下、ドミトリー ₹300以下、ローカルバス ₹50以下、夜行バス ₹1,500以下、電車 ₹100以下
その他:ビザ 約2千円、ワクチン 約12万円 (狂犬病等6種類)、渡航費(KIX⇆MAA) 往路 53,550円 復路 ₹39,678
上記に加え、東京の部屋を引き払うための費用がかかった。

留学先での住居

留学生と1年目の学生用のホステルに滞在。事前に申し込む必要はなく、寮に着き次第自身の部屋番号を教えてもらえる。支払いは国際クレジットカードで可能。留学生は一人部屋として使える。部屋には机と椅子、ベッドフレーム、ファン、クローゼットが用意されている。Wi-Fiを使うには、売店でルーターの購入と、学内アカウント利用手続きを行う必要がある。マットレスや枕、掃除道具、ゴミ箱等は入学時期(7月末)であれば寮入り口で、それ以外の期間ではPrime Martですべて購入可能。トイレ、シャワー、洗濯機は全て共用で、各階に2か所ずつ用意されている。給水機もあるため、飲み水には困らない。ゴミはゴミ箱を部屋の前の廊下においておけば毎朝回収してもらえる。また、猫と猿がいる。
部屋は埃まみれなので到着したらまず掃除からする必要がある。自室のクローゼットは謎の異臭がしたため、使用しなかった。 窓は外側と廊下側に1つずつあり、四六時中開けていた。ただ、外から丸見えなので何かしら対策は必要。洗濯機を使うと服に謎のペン染みなどで汚れることがあるため、お気に入りの服を日本から持っていくのは止めた方が良い。また、洗濯物は廊下側に洗濯紐が用意されているのでそこで干せるが、風通しが悪く、なかなか乾かなかったため、私は洗濯ひもを購入して室内干しをしていた。
シャワーからは水しか出ないが、給湯器があるのでバケツを購入すればお湯を浴びられた。疲れた心身には湯が沁みた。
廊下には履物とゴミ箱以外置かない方が良い。モップとバケツを購入したが、廊下に置いていたら誰かに持っていかれた。廊下は清掃員さんが定期的に掃除してくれるため、割と綺麗な状態が保たれる。ただ、履物が蹴散らされるため注意。
私のホステルでは猿被害はなかったが、他のホステルでは常に猿に狙われるらしい。猫は各ホステルに住み着いており、朝夕だけ姿を現す。人馴れしているため、割と簡単に触ることが出来る。
停電と断水は突然訪れる。もちろんそうなると、シャワーは浴びられない。

 妊娠中の母猫(茶トラ)とオモチャ好きな子猫(白黒)仲は悪い。 最後の1か月は寝るときに扉をあけっぱなしにしておき、猫に朝起こしにきてもらっていた。

. 妊娠中の母猫(茶トラ)とオモチャ好きな子猫(白黒)仲は悪い。

最後の1か月は寝るときに扉をあけっぱなしにしておき、猫に朝起こしにきてもらっていた。

留学先での語学状況

授業は全て英語で実施される。が、Rは巻き舌、thはタチツテト発音などインド訛りの強い英語への慣れが必要。実際に体感して楽しんで頂きたい。英語が苦手な人は英語自体に苦戦し、得意な人はインド英語に苦戦すると思うが、インド人は言語習得に寛容なので 、自分の知っている英語で一生懸命伝えればどうにかなる。どうにかしているうちにどうにかなる。
TOEICは帰国後810点であった。リスニングと長文読解がかなりマシになったが、文法と単語は未だに苦手。
また、IITMが位置するタミル・ナドゥー州の公用語がタミル語であることから、タミル語の授業が開講されている。外国人が日本語を話してくれた時の高揚感を思い出してほしい。我々がタミル語を学ぶ価値はそこにある。

単位認定(互換)、在学期間

科学大にはない教科ばかり履修したため、単位互換は実施しなかった。在学期間は一年延長した。

留学先で困ったこと

困ったことや覚えていてほしいことは以下の通り。
チェンナイ国際空港(MAA)から大学のホステルまでは₹500が相場。空港周辺はUberが来られないため、プリペイドタクシーで来るのが良い。私は何も調べずにインドへ渡ったため、₹1,000の野良タクシーを利用してしまった。あと、インドにチップ文化はない。 “Happy money” とオートリキシャやタクシードライバーからチップを要求されることがあるが、“I’m happy”などと言っていなせばいい。インド人ドライバーが面食らって静かになったら、あなたの勝利である。
基本的に、トイレにはトイレットペーパーではなく水が出るホースが備え付けられており、それで全て事を済ます。トイレットペーパーが欲しい人は1ロール日本から持っていき、無くなったら学内の売店で買うとよい。ただし、高い。田舎のバスターミナルではホースすらなく、桶から汲んだ水で全て済ませた。衝撃的であった。
薬は学内外共に薬局ですぐに購入できたため、困ることはかった。基本的にインドの薬の方が強いので、症状に合わせて現地調達したほうが良い。ただし、ムヒだけは持っていくことを強くお勧めする。また、新品のマットレスでも大量のダニがいる可能性が高いため、ダニがいなくなるスプレーも日本から持っていくと良い。私はそのスプレーのおかげでダニ被害に遭わなかった。
日中はとにかく日差しが強く眩しいため、サングラスを持っていった方が良い。インドでも買えるが、機能するものを探しに行くのが面倒なので日本から用意していった方が確実。ブランドより機能性を優先したものを使うこと。ブランド物はいつか盗られる。
我々が持っているクレジットカードはInternational cardであるため、利用できない店が多い。寮費や学食など、学内では問題なく支払できるが、ウェブでの支払いや外のお店では使えないことが多いため、いくらか現金を持っておく必要がある。
QR決済が充実しているため、細かいおつりがないお店が非常に多い。₹5未満はおまけしてくれたり、切り上げられたり、飴で返されたりということが多い。また、オートリキシャを利用した際にはほぼ確実に細かいおつりをもらえない。これらのトラブルを回避するために、こまめに₹500札を崩して細かいお金を用意しておくとよい。私は学内の八百屋、市内のローカルバスで細かいお金を準備していた。₹500を出すと嫌がられるが、「外国人なんだ。ごめんね。」という顔をしたらわかってくれる。インドの銀行口座を開設するとQR決済が使えるようになる。
ルピーの入手は空港での換金よりもキャッシングサービスの方がオススメ。空港は安全ではあるが、換金レートが非常に悪い。私はソニー銀行を利用した。空港に着いたら1万円程換金して、それ以外は学内のATMから引き出すのが良いと思われる。どちらの方法でも₹500札ばかりになるので、お金を崩す手段を自分なりに確保しておくこと。
コンセントタイプについて、学内は全タイプ対応のコンセントの為忘れがちだが、外に出るとタイプC, B, B3がほとんどであるため、ちゃんと変換プラグは持っていくこと。私は旅行に変換プラグを持っていくのを忘れたため、非常に苦労した。
英語でも他の言語でも、何言っているか分からないときがやってくる。その時は聞き返してOK。友達が何を言っているかわからずに何回も聞き返したが怒られたことは無かったし、全く知らない言語の時は会話が終わる。とにかく発言することがトラブル回避に繋がる。
日本と比較すると、大体どこも汚れている。なので、綺麗であるべき場所を自分の中で再定義するとよい。ご飯を食べるときは手がきれいであればOK、机は気にしない。部屋はベッドがきれいであればOK、床は気にしない等、とにかく守りたい場所を狭めると一気にストレスが減る。
観光地で大麻に誘われる、店に軟禁されて高額商品の押し売りに遭うなど、学外では生きる力を磨かれる機会に多く恵まれる。生還するためには相手が解放したくなる人物になり切ればよい。虚勢を張ることも、右も左も分からない弱者を演じることも必要である。パニックにならないことが重要である。

洗濯前の洗濯機の水

洗濯前の洗濯機の水

留学を希望する後輩へアドバイス

留学に興味がある人は 、留学先は体裁よりも興味に従って決めてください。また、留学先は体裁よりも興味に従って決めてください 。不確実性が高いところを選ぶと、充実感に満ちた留学にできると思います。また、どこに行っても留学の質を決めるのはあなた次第です。費用など考えなければならないことは沢山あると思いますが、とりあえず行く方向でどんどん話を進めてください。未来の自分がどうにかしてくれます。
留学に興味がないのにたまたまここまで読んだ人は、せっかくなので、短期留学か海外旅行に行ってみてください。日本とは異なる価値体系で作り上げられた世界に触れ、自分がそれをどう感じるかをよく観察してください。より人生が味わい深くなるかもしれません。
どうしてもお金の工面が出来ない人は、一度社会に出て、稼いで、そして海外へ行ってみてください。
聞きたいことがあればいつでも連絡お待ちしています。書けない、書ききれない話も沢山あります。
最後に、インドは最高の場所です。自然や文化、宗教、そして何より人間に興味がある人には、これ以上興味を刺激される場所はありません。リフレッシュにチャイで一服、人生の少しだけでもそんな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
ということで、「命大事に」を第一に、皆さん頑張ってください。

サム砂漠にて

サム砂漠にて

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